「 12.つくる責任つかう責任 」

蒔絵作品の製作者として私たちが行なっていること、つくる責任を 「 Reduse（ リデュース・減らす ） 」 「 Reuse（ リユース・再利用 ） 」 「 Recycle（ リサイクル・再資源化 ） 」 の” 3R ”に照らし合わせてご紹介いたします。

「 Reduse（ リデュース・減らす ） 」

＜ 素材を無駄にしない ＞

蒔絵を描いている時に研ぎや磨きといった工程で素材の下から木の節や貝の小さなヒビが表面に出てきてしまうことがあります。そうなった場合、その素材は捨てずにその部分に新たに蒔絵を描きます。
下の写真は左が通常の作品、右が新たな蒔絵を加えたものです。

▼「 蝶蒔絵 白蝶貝ブローチ 」　ブローチの右側に少しシワのようなものが出てきたので三日月を描きました。


▼「 うさぎ蒔絵 貝帯留め 」　こちらもうさぎのおしりの方に少しシワのようなものが出てきたあったのでこちらにも三日月を描きました。


▼「 寅蒔絵 干支栃盃 」　木の筋が見えてきたので尻尾を描きました。

＜ 自然素材から道具を作る ＞

蒔絵で使う道具は自然の素材から作ることができます。例えば金粉を蒔くために使う粉筒は茎が空洞の葦を使って作ります。角の研ぎにくい場所は鯛の牙を使って研ぎ出しますし、ツヤをあげるために炭を使います。自然の素材から道具を作ることでプラスチックゴミを減らすことに繋がります。

▼写真の左から、1.葦を適当な大きさに切ります。2〜4.絽や紗など網目が大きくあいている生地を粉筒の大きさにあわせて切り、貼り付けます。5.生地が取れないようにまわりに和紙を貼り付けます。


▼研ぎの工程で使う細い木の棒の先に鯛の牙をつけたもの。

▼研ぎや磨きで使う炭を使いやすい大きさにしたもの。

「 Reuse（ リユース・再利用 ） 」

＜ 消えても欠けても修理して使える ＞

蒔絵の作品はお手入れしながら長くご使用いただくことができます。例えばご使用いただく中で強い衝撃で蒔絵が剥がれてしまったり、高い位置から落として素材が欠けてしまっても、欠けた部分を漆で埋めてその上から新たに蒔絵を描くことができます。
またうるしアートはりやのアクセサリーのほとんどは金具交換ができますのでお母様がブローチとして使っていたものを帯留やループタイに変更して使い続けることが可能でございます。

▼欠けてしまったブローチの一部を漆で埋めたところです。この上から蒔絵を描きます。


▼左が元のブローチ、右が落ちて欠けてしまった部分を削ってピンブローチに仕上げた作品です。


▼【ブログ】951日×1日8回（ 合計7,608回 ）洗った盃を艶あげしました。

「 Recycle（ リサイクル・再資源化 ） 」

＜ 捨てるはずだったものを再生 ＞

うるしアートはりやの工房がある石川県加賀市山中温泉は山中漆器の産地です。山中漆器は轆轤（ ろくろ ）を使って木材からお椀やお盆などの器を作る木地師が多くいます。匠の技術で器は作り出されますが中には木の節があって売り物にできない商品が出てきます。そのお皿は燃やされて処分されますがそれらを買い取って漆を塗り金箔を貼ってアクセサリーとして生まれ変わりました。

▼写真左側は捨てるはずだった銘々皿、右側がペンダントやブローチに生まれ変わったものです。これらは弊社ギャラリーなどの店舗やイベントでご購入いただけます。

「 付加価値をつける、それが蒔絵のいいところ 」